待望







どれだけの月日が経った?

指折り数えて、数えきれなくて、数える事をやめちまった。
それも随分前の話。
とにかく、会えなくなってから、それだけの時間が流れた。


会えばまた、憎まれ口を叩いちまうんだろうな。
そんな風に考えて笑ってられたのも最初だけ。
もしも、もう二度と会うことがなかったら?
見えてるような見えてねぇようなこの世界に一人。

一緒に過ごした短い期間を、長い月日が洗い流しちゃいねぇか?
大嫌いでも、うるせぇ男でも、最低な奴でも構わねぇ。

おめぇの中にどんな形でもオレが生きてりゃそれでいい。


こんだけ遠くにいたら、気持ちが、記憶が、昇華しちまいそうだ。
どんだけ縋って引き留めても、じんわりと体が何かに蝕まれていくようで。


怖い。
生まれて初めて味わう恐怖。


一度手にしたものを失う恐怖。



忘れられるという、恐怖。






早く会いに来い。
早くその面見せろ。

オレがまだ軽口叩けるうちによ。
絶望の淵に落ちる前に。

そしたら言ってやっから。




「でかくなったな。」





てよ。



せめて最後ぐれぇ、親父らしい事言わせろ。



せめて最後ぐれぇ、おめぇの親父でいさせろ。















【END】









『言い訳』



前に似たような話があったようなないような(笑)
口調によってしかわからないジェクトネタ。
シンになってからティーダ達を待ってる間、だったりします。
待つ身は辛い。
祈りに似た願いをもって、泣き言を言う相手さえもいない時間を経て。
再会が最後の時なんてね。