Snow





しんしんしん。



「なぁに怒ってやがんだぁ?」
「…別に怒ってなどいない」
「それが怒ってんじゃねぇか。どうしたってんだよ」
「何度言わせれば気が済むんだ?…俺は怒ってなどいない」



些細な原因であんたを困らせる程ガキじゃない。
毎日顔を合わせているのに寂しいだなんて言えるわけもない。
ほんの少しの感情の動きに気がつけだなんて無理な話。
受話器の向こうの困った顔が思い浮かぶ。

嫉妬。不安。
拙い感情。
我が身の身勝手さに自分さえ驚く。

怒ることじゃない。
怒ってなどいない。
ただ行き場をなくし持て余した感情が露出してしまう。



しんしんしん。

降り積もる白い雪が、汚い感情をも隠してくれたらいい。
思いは虚しく、静寂を促す雪は孤独の輪郭を浮き彫りにする。
二人の間に白い溝を刻んで。


「帰ったぞ」
声の主は全身に雪を纏って小さく震えていた。
「あんた…帰れなかったんじゃないのか…?」
「帰ってきちゃ悪ぃのかよ」
白い息。小刻みに震える体。
どれだけの距離を歩いてきたのだろう?

「あぁ、腹減った。なんか食わせろ」

たとえどんなに隠しても、きっとあんたなら気付いてくれる。
そう思うのは、俺の我儘か?




しんしんしん。

雪が降っている。
全てを覆い隠しても、その下にある世界は変わらない。


冷たい手から伝わった、いつもよりはっきりとした温もり。









【END】









『言い訳』



やぁっと更新できました。日記で宣言した通りテーマは雪。
タイトルそのままですが、何も思いつかなかったんで(滅)
あ、わかるかどうかヒジョーに不安なとこですが、一応JAです。アーロンが乙女チックですみません(土下座)
どうでもいいけど雪が降ると寂しくなるのって私だけ?
そういう些細な心の波を読み取ってくれる人希望です…無理か(笑)