ジェラシー





何もかも知り尽くしたように俺の身体を滑る手。
ビクンと身体を震わせる度にあんたは楽しそうに小さく笑う。
「いやらしい身体だな…」
あんたが良すぎるんだ。
そう言い返したくても、口から出れば言葉は甘い喘ぎ声にしかならない。
追い詰められた自分とは対照的な余裕の笑みが、悔しい。
「あぁっ…も…アーロ…っ…欲し…」
焦らされ耐えられずにねだると、にやりと笑ってぐいっと腰を引かれた。
一気に奥を突かれた衝撃に身体がのけぞる。
自然と零れた涙を指で拭ってくれる。

優しくキスを落とすあんたに、慣れてるなと思う。
そう思うと苦しくて、頭を抱くように腕を絡めて引き寄せた。
それを合図にするかのように始まる激しい律動。
意識が飛びそうになるのを堪えて必死でしがみつく。
自身を弄ばれながら確実にいい所を攻められ、限界はすぐに近付き。
「もう…っ!」
アーロンは返事の代わりに動きを早めた。
痺れるような感覚と共に欲望を吐露すると、俺の中にも熱いものが吐き出されるのを感じた。

イク時に見せる苦しげな艶っぽいあんたの顔、たまんない。
そんな顔見れるのは俺だけの特権。
でも。

「アーロンてさぁ、彼女とかいたんスか?」
何気ない様子を装って、ベッドの中で横にいるアーロンに問い掛ける。
「それなりにな」
チクン、と胸が痛む。
そりゃ、いない方がおかしいし。
「結構もてたとか〜?」
「さぁ、どうだかな」
どうでもいい、というようにあんたは言い放つけど。
否定しないのは肯定してるのと同じようなもの。

嘘でもいいから否定してくれればいいのに。
「何を考えている」
黙りこんだ俺の頭をくしゃくしゃと撫でるその手も。
あの時の表情も俺を抱く身体も。
かつて誰かに愛されたもの。
誰かを愛したもの。
「べっつにぃ。物好きもいるんだと思ってさ」
「お前もその物好きの一人じゃないのか?」
笑いもせずに見つめるから、苦しくなる。
『他のヤツと一緒にすんなよ。』
口にしちゃいけない気がして、笑って誤魔化す。

鼻で笑って目を閉じるあんたを横目で見ながら、布団に潜る。
過去に嫉妬やいてもしょうがないのは分かってる。
今は俺だけのものだってことも分かってる。
それでも、胸のもやもやは消そうと思えば思う程膨らむ。
俺はアーロンだけなのに、と思うとなんだか無性に悔しい。
過去さえも欲しがる程にあんたを好きなんだって思い知らされる。

黙りこんだ俺は布団の上から抱きしめられた。
「…過去が気になるか?」
全部見透かされてるのがまた悔しい。


悔しいから布団から顔出して言ってやる。
「そんなもん…気になるわけないだろっ」
「そうか」
「そうだよ」
アーロンはふっと優しい目になって。
「過去も未来もお前の為なら差し出してやる」
「ぶっ…くっさぁ〜っ!!」
思わず笑うとアーロンはムスっとして背中を向けた。
笑っちゃったけど、本当は嬉しくて。
『ありがと』
心の中で呟いて大きな背中に抱きついた。












【END】









『言い訳』


最近浮かんでたリクネタですが…放置中に空中分解(滅)
一年以上リクも放置していてすみません(陳謝)
エロ…逃げてしまいました;
リクは『アーロンの女暦に嫉妬するティーダ』ということでしたが、過去はどうしょもないのにもがもが〜!てありますよね。
過去なだけにたちうちできないし厄介。
過去があるから今があるのに、やっぱり気になると止まらない(苦笑)
というわけで、終わり方が曖昧ですみません(重ね重ね陳謝)