雨の降る間
今年も嫌な季節が巡ってきた。
外は雨。来る日も来る日も雨は降り続く。
心配そうな青い瞳がこちらに向いている。
古傷が痛んでな。
その言葉は半分嘘で半分真実。
体が分散しないよう、意識的に繋ぎ止める。
胸に刻まれた後悔という名の古傷が疼く。
失った片方の光もまたズキズキと痛むのは気のせいなのか。
泣かないで。
重ねられた手の暖かさ。
狂おしい程に愛しい柔らかな青い眼差し。
俺は泣いているように見えたのだろうか。
俺は泣いていたのだろうか。
痛みが消えるまで、こうしててあげるから―
自分よりも小さな胸に引き寄せられ、顔を埋めた。
穏やかな鼓動と体温が、体に流れ込んでくるような錯覚。
心地よい温もりに、いつしか痛みは消えていた。
あんなに欝陶しかった雨が止もうとしている。
それなのに俺は、
願っていた。
もう少しだけ、
雨が止まないように。
【END】
『言い訳』
梅雨ですな。雨降ってますな。
ということで湧いたショート。
雨降ってるとなんだか気分沈んだりしません?私は帰宅中にドーンと気分落ちたりします(笑汗)
淋しい時、辛い時、苦しい時。誰かと一緒にいて気分が晴れずとも、傍に温もりがあるだけで救われるように感じたり。
ただそこにいてくれることが、支えになる。感謝してもしきれない存在だと思います。
ありがたい感想のお言葉に感謝を込めて、こちらのショートは渚様に捧げます!(返品可/笑汗)