WINTER SONG
買い物を済ませ外へ出て傘をさす。
繁華街を抜けると人通りもなくなり、白く彩られた世界が広がっていた。
雪には消音効果があるのだろうか、街の雑音が聞こえない代わりにしんしんと雪が降り積もる音が聞こえる。
まだ踏み荒らされていない白い道に足跡をつけながら歩く。
立ち並ぶ家々にはそれぞれクリスマスの飾りつけが施され、雪の中で光が点灯する。
もうすぐクリスマスだな…。
ふと、昔のことが思い出される。
あの子がまだ幼い子供だった頃を。
子供はサンタクロースのプレゼントを楽しみにするもので、例に洩れず毎年自分がティーダの枕元にプレゼントを置いていた。
クリスマスの朝、目を覚ましたティーダは『サンタさんからのプレゼント』に目を輝かせ、自慢げに見せにきたものだった。
それがある年。
「アーロンがサンタさんなんでしょ?」
いつまでもサンタクロースの存在を信じているわけはないだろうが、俺は肯定せずに首を傾げてみせた。
「違うの?アーロン、俺のサンタさんじゃないの?」
まだ幼いながらもいっぱしに不服そうな顔を見せる。
「俺がサンタの方がいいのか?」
不思議に思って逆に尋ねると大きく頷いた。
「だって『恋人がサンタクロース』なんでしょ?」
どこでそんなことを聞いてきたのかは知らないが、真剣な眼差しに思わず笑ってしまった。
ティーダが恋人の意味を分かってるかは危うい。
それでも俺は嬉しかった。
その時から俺はティーダだけのサンタクロースになった。
こんなこともあった。
やはり雪が降った日、ティーダは雪だるまを作った。
作りおわって暫らく満足気に眺めていたが、また雪を丸め始めた。
手を真っ赤にしながら。
風邪をひくから家に入れと言う俺に、ティーダは手を休めることなく言った。
「俺にはアーロンがいるから淋しくないけど、雪だるまも一人じゃきっと淋しいもん」
真っ白な雪のように純粋無垢な少年は、いつでもそうやって俺の心を暖かくする。
だから俺はいつでもその手を暖められる存在でいたいと願った。
雪のように降り積もる想い。
全てを覆い尽くすこの想い。
雪が消えても消えることはないだろう。
もうすぐティーダの下校時間だ。
あの子はきっと、今年も手を真っ赤にして帰ってくるのだろう。
俺は家へ向かう足を早める。
帰ってきたティーダを暖めてやる為に。
雪はまだ降り続いている。
全てを白く埋め尽くしながら。
【END】
『言い訳』
えぇっと…あたしはどうやら【甘々】の意味をはき違えてるようです(爆死)
というよりも、どんなものが甘々というのか分かってないらしいです(自爆滅)
先日初雪が降ったので、季節モノにしてみました←もはやリク小とは言えないって噂
せっかくだぁりんがリクくれたのに…遠い昔だけど(汗)
ごめんねぇぇ〜っ!愛はあるんだ、愛はっ!!(必死)