Way of Difference
会いたくて 会えなくて
長すぎる夜に光を探しては
一人たたずんでいる
誰一人
優しさと強さがなければ生きてはいけないと
教えてくれたのは
去りゆくあなたでした――
「俺、祈り子の夢なんだって」
ティーダがそう言った時から、俺たちはお互いの想いを解放した。
それから旅が終わるまでの短い期間、片時も傍を離れなかった。
全てが終わればティーダは消え、俺は異界へ行く。
すぐにやってくる別れを知っているからこそ、笑って過ごそうと決めた。
どんなに不安でも、どんなに辛くても、愛しい人の笑顔を曇らせないように。
「笑顔、うまくなったじゃん」
そう言って笑うティーダに笑みを返す。
「泣いてもいいんだぞ」
そう言って笑う俺に笑みが返る。
「泣いてる時間が勿体ないだろ?あんたといる時間を大切にしたいんだ」
その言葉でどれだけ俺は強くなれただろう。
どれだけ勇気をもらっただろう。
それまでの俺は力の中にのみ強さを見いだしていた。
しかし、恐れや悲しみを全て内包しているティーダの笑顔に本当の強さを教わった。
「最後は俺に見送らせて」
ティーダの最後の願い。
「ここにいるあんたを最後の一瞬まで見届けてから消えたい」
それからこうも言った。
「俺が消えるとこ見なければ、あんたは俺がまだどこかにいるって思えるだろ?」
ペロッと舌を出してみせるその笑顔の裏の涙を拭ってやりたくて、そっと抱き寄せた。
共に過ごした十年。
覚悟していたはずなのに、まだこの先もずっと一緒にいられるような錯覚を起こした。
しかし当然のことながら別れはやってきて、俺は一人でここにいる。
ティーダの言った通りどこかにティーダが存在しているような気がして、いつもその姿を探してしまう。
会いたくて。
会えなくて。
恋しくて。
こうなることを知っていて求め合った筈なのに。
この腕に残る温もりも、いつかは消えてしまうのだろう。
傍にいられると錯覚したあの日々のように。
――行き先はそれぞれに違うこと
はじめから知ってた二人だね
それなのにあなたに触れる日はいつも
永遠を感じていたんだ――
【END】