ALL FOR YOU side A
何度終わらせようと思ったことだろう。
消えてしまおうと何度思っただろう?
お前の為に。
そして、苦しみから逃れたいが為に。
全て投げ捨てれば安らかに眠れる。
全て終わらせれば後は忘れればいいだけのこと。
早く解放してやらねばならない。
お前は俺のような老兵といるべきではないのだから。
お前は今を生きる者と共に生きるべきだ。
俺なんかよりもずっと相応しい相手がいる筈だ。
『そんなことはない』とお前は言うだろう。
だが、お前はわかっていないだけだ。
見えていないだけだ。
周りを。
未来を。
二人の行く末を。
終わらせるのは俺の役目なのだと思う。
お前は優しいから、俺がいたらどこにもいけないだろう?
『別れた方がいい』
そう口にしようとする度に、
『お前の横にいるべき者は俺ではない』
断ち切ろうとする度に、
お前の笑顔にうち砕かれる。
お前の言葉に引き留められる。
愛しくて、
愛しくて。
愛されているのだと思ってしまう。
幸せなのだと思ってしまう。
まだお前の傍にいてもいいのだと
まだお前の横にいたいと
別れるべきだと思いながらも、傍にいたいと思う。
別れを覚悟しながら、今この時が続くことを願う。
お前の優しさに触れる度に俺は弱くなっていく。
アンバランスな心を制御できずにお前を困らせる。
離れようとしても吸い寄せられて、
拒もうとしても求めてしまう。
いつまで傍にいてもいいんだ?
いつまで夢を見ていていいんだ?
無情に過ぎる日々。
愛しさは募り、苦しみは増す。
それでも願いはただ一つ
お前が幸せであるように。
別れの時がきても
俺を忘れてしまおうとも
お前の幸せだけを願っていながら、離れられずにいる弱い自分。
どうか許してくれ
あと少しだけ――
【END】