7月7日、晴れ。








「一年に一度?」

「そう、一年に一度」



だから、

晴れるように祈ってあげようよ──


一年に一度しか会うことの出来ない恋人達の話。その一度さえも、雨が振れば会えなくなってしまうという。

寝物語でいつかお前が聞かせてくれた、遠い昔の言い伝え。


腕の中のお前は笑って言った。

晴れるように祈ってあげよう、と。




「一年に一度しか会えないなんて、災難だな…」

あの時そう言って笑った俺。



あの頃は、お前がいつでも傍にいた。

手を伸ばせば触れられる距離に。

欲しいだけ愛を与えられ、注ぎたいだけ愛を与えてやれる程、近くに。


お前を失った今思う。

──たとえ一年に一度だけだとしても、会えるだけマシだと。



それでも。

祈ってあげようと言ったお前を思って、俺は祈る。


どこかで同じように祈っているお前の存在を、今でも信じているから。




空の恋人達は、その日に会うことが出来ると願いを叶えてくれるという。


ならば、会わせてくれ。

同じように一年に一度でもいい。


なんでもいいから、

アイツに、

会わせてくれ。





晴れるように祈ろう


願いを込めて


二人が


会えるように祈ろう




【END】