独白(Yuna’s Sphere)






これを君が見る時には、全てが終わっているんだね。
遺言とか、そんなんじゃないの。

これは、私から君へのラブレターなんだ。


…なんて、本当はね、こんな物残したら君が辛くなるってこと、わかってるんだ。
いなくなった相手からこんなこと言われたら誰だって重いもん。


わかってるけど。


私の生きた証を、少しでも君の中に残しておいてほしいから。

私のこと、忘れないでほしいから。


最後の私のワガママ、許してね。
は、私の宝物が何か知ってる?

マカラーニャの森で君が私にくれたキス。

それが私の宝物。


君は、ザナルカンドに行こうって、言ってくれたよね。
旅をやめようって、言ってくれたよね。

私、本当に嬉しかったんだ。


やめちゃおうかなって、本気で思った。



旅をやめて
君といたいって、


君とずっと
一緒にいたいって、


そう思った。

シンを倒してみんなを幸せにしたい。
そう思う気持ちもホント。


だけどそれよりも、
君の側にいたい気持ちの方が、ずっと、ずぅっと、強いんだ。


…召喚士失格だよね。



でもね。
私、知ってたんだ。


君は他の人を見てるってこと。


私にくれたキスは、
君の優しさだってこと。
君はとっても優しいから、人が困ってたり落ち込んでいると放っておけないんだよね。

自分のことよりも、人が傷つくのを見てられないんだよね。



そんなことも全部わかってたよ。


だから私、旅を続けるって言えたんだ。


もし旅をやめても、

君が私の側にいてくれても、

君の瞳に映るのは

私じゃない。



そうだよね?

私その時決めたんだ。
シンを倒して、みんなを──

ううん、君を幸せにする。


君が大好きな人の隣にいられるように。

君が笑っていられるように。


その為に私はシンを倒します。



悲しまないでね。


好きな人の為に何かができるって、

幸せだよ。

人を好きになるって

幸せなことだよ。


こんなにたくさん幸せをくれて、

ありがとう。

君に逢えて良かった。

君を好きになれて良かった。

君の笑顔を知れて良かった。



それから1つ、教えてあげる。


優しさは時々人を傷つけることもあるんだよ。

だから君は、ただ笑っていて。

好きな人の隣で、

ただ自分の幸せだけを考えて、

笑っていて。



その為だけに、
私はシンを倒すから。


…いけないっ!
もうすぐ夜が明けちゃう。

君の笑顔の為にも、
戦いに備えて寝ておかないとね。


それじゃあ…



おやすみなさい。
【END】