アーロンを好きになってから、学校の帰り道でも、雑踏の中でも、どんな所でもアーロンを探していた。
人混みの中に、いるわけのないその姿を。
アーロンと両思いだって分かってからも、俺はやっぱり探してる。
どこかで俺を見ていてくれてるんじゃないかって、バカらしい期待。
そうやって、今日も家までの帰り道にアーロンの姿を探す。
いるわけがないよなって自分で自分を笑ってたのに、その姿を見つけて。
人混みの中でもひときわ目立つように見えるのは、アーロンが俺にとって特別な人だからなんだろうか。
飛びつきたい衝動を必死に押さえてアーロンに駆け寄る。
アーロンの姿を探していたくせに、本当にいたことに心臓がバクバクしてる。
驚いて言葉も出ない俺を見て、アーロンは楽しそうにククッと笑う。
「お前が俺に会いたがってるかと思ってな」
からかうように言って笑うその顔が、
大好き。
「たまには迎えに来るのも悪くないだろう?」
「悪くないっていうか…マジ嬉しいっス」
正直な気持ちが口から出る。
気持ちを隠す余裕もない程、本当に嬉しいから。
家までの道を並んで歩く。
毎日通っている道なのにいつもと違って見えるのは、アーロンが一緒だからなんだろうか。
「こうやって二人で歩くのも久しぶりだな」
言われてみればそうかもしれない。
毎日顔を合わせているけれど、外で会うことはない。
いつも、アーロンが俺を送り出し、俺がアーロンの帰りを待つ。
「お前が小さい頃は目が離せなくて、どこへ行くにも連れて行っていた」
いつも一緒にいられたなんて、今の俺からしたら夢のようで。
幼い自分を羨ましく思う。
「今は…?今は目を離せるの?」
「今は、お前がどこへ行こうと必ず俺の元へ戻ってくると分かっているからな」
意地悪そうに顎を上げて笑うその顔が、
大好き。
両思いだって分かっているのに好きな気持ちをもっと伝えたくなるのは、どうしてなんだろう。
「ねぇアーロン、知ってる?俺、アーロンが大好きなんだよ」
「…知っている」
目を細めて優しく笑うその顔が、
大好き。
ねぇアーロン、知ってる?
一秒一秒、こんなにも大好きだって思っていること。
大好きがどんどん重なっていっていること。
本当は『愛してる』って言いたいことも、
ねぇ、知ってる?